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Planet Table Days

PT公式ブログ

日本の牛

メディアチーム高良です。

ここ最近、きちんとした食関係の知識を深めるために色々な場に顔を出させていただいています。先日「食品照射」について学ぶため東大農学部を訪れました。肉の生食が続々禁止される中、まさに今動向が気になるトピックです。これについて語ろうとすると「つれづれ」どころでは済みませんので、こちらはまたの機会に専門家のご意見も交えてしっかりお伝えしたいと思います。

というわけで、今回は牛のお話。命を食らうことに対しては様々な立場があり、複雑なテーマではありますが、今回はあえて食糧ということに焦点を絞って書きます。

※ ちなみにこの子は台湾の公道で出会った牛なので本編とは関係ありません。

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講演後に立ち寄った農学資料館で「国牛十図」の現物を見ました。鎌倉末期に記録された国産の牛の図説なのだそう。

全体の写真はこちらで見れます。

http://www.a.u-tokyo.ac.jp/shiryoukan/exhibits.html


当時は生物学的な分類ではなく、そもそも食用として肥育されていない時代なわけですが、興味をそそられたので、現代の牛の種類についても色々調べてみました。

今和牛といえば「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4品種を指しますが、和牛のうち95%以上が黒毛和種。そして黒毛和種の99.9%以上が但馬牛の一匹、「田尻」号の血統なのだそうです。米沢牛や松坂牛などたくさんの銘柄があり、もちろん実際に育て方や餌などは地域によって違いますが、遺伝子的には全てほぼ同じということなんですね。

現在、獣医学の研究者や敏感な畜産農家さんたちが懸念していることがあるそう。肉付きが良い、サシが入りやすい…など特定の血統に人気が集まってしまうため、行き過ぎると近親交配になってしまい別の問題が発生するかもしれないと。このままでは繁殖できないので黒毛和牛がなくなるかもしれないとのこと。他よりも高く売れるものを作りたいと思うのはごく当然の心理ではありますが、それが己の首を絞めることになっているんですね…

 

もちろん、黒毛和牛は美味しいです。霜降りのしゃぶしゃぶは私も好きです。でも、一方で「脂分が多いからあまり量を食べれない」「高いから日常的には食べようと思わない」「グラスフェッドのオージービーフの方がヘルシー」「アメリカンビーフのダイナミックさが好き」というような声も最近聞こえてくる。

日本は色々な国籍のレストランが集まっており、家庭料理も多種多様のはず。全用途において国産が霜降り黒毛和牛に寄ってしまうのもなんだかもったいない気がします。どれだけ名前が売れているかではなくて、純粋にこの用途にはむしろこっちが美味しいということもあるはず…。野菜も同じですよね。

先に述べた国牛十図の中で、ひとつめの筑紫牛が特に気になりました。元々は壱岐島の牛で、宮廷の牛車や農耕用だったが、元寇の時代に元軍の食用になり一度滅びかけたと当時の記述にあります。今も「壱岐牛」はブランドとして生きていますが、大部分が子牛の段階で神戸や松坂に出荷されて神戸牛や松坂牛になるんだそうです。十図の絵だと茶色と白なので、当時は黒毛和種でなかったように見えます。 

 

 品種改良の末、需要を追求した結果が現代だとは分かっているんですが、用途は時代によって変わっていくもの。今や消えてしまった幻の牛肉が今の調理方法だとどうだったのかはちょっと気になります。

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